INTERVIEW with MUSE No.1 フルーティスト 難波薫さん 2012.1.28.FRI 日本フィルハーモニー交響楽団のフルート奏者として活躍中の、難波薫さん。2012 Spring/Summerのイメージモデルとして抜擢された新しいミューズに、音楽のことやファッション観、プライベートでのライフスタイルなど、さまざまなお話を伺ってきました。 Q さて、本番直前の時間となっていますが、難波さんは上がったりしませんよね? A いえ、上がるんです、これが。初めの一音っていうのを出すのが、意外に緊張するものなんです。舞台は、発表会というところから始めると、もう30年近く出ているので、そういう意味では慣れてはいるんですけれど……。 Q 難波さんのお仕事は、フルートを演奏することですが、一般の方には馴染みが薄いご職業ですよね。そこで、フルート奏者というお仕事がどんなもので、毎日どんなことをされているのか、教えて頂けますか? A フルーティストといっても、私のようにオーケストラに所属しているか、あるいはソリストとして、一人で演奏する形で活躍するかで、だいぶ異なってくるところもあるのですが。私のようにオーケストラに属して演奏する場合、1回の舞台の本番に、1回から3回くらいのオーケストラ全体のリハーサルがあります。だいたい練習、練習、練習、そして本番という4日間ですね。で、その練習の前に個人練習があり、1週間に2、3回の本番をこなしています。 初めの一音っていうのを出すのが、意外に緊張するものなんです。 Q プロのフルート奏者になるのに、まずはもちろんスキルというものもあるのでしょうけれど、他にどんな資質が必要なのでしょう? A たぶんフルートに限らずだと思いますが、先ほどお話に出てきた度胸というか、開き直りの素質も重要ですね(笑)。私も土壇場になると、開き直りができる方だと、自分では思ってはいるのですけれど。 Q いまお持ちのフルートですが、金でできていると伺って驚きました。 A 私はフルートを3本と、ピッコロという小さい笛を1本持っているのですが、メインでこの楽器を使っていて、後はメンテナンスに出したりした時などに使う予備のものということになります。やはり2、3本持っている方が多いと思います。素材は本体が金ですけれど、吹く側が18金で、持つ側が14金、キーの部分が銀というように、若干異なる材質でできています。 Q やはり、かなり高価なものなのですか? A 高いといえば、高いですね(笑)。でも、弦楽器ほどは高くないです。クルマ1台分くらいかな。クルマと同じで、ピンからキリまでありますが。 Q 音楽家としてのハイライトは、やはり舞台になるのでしょうか? A やっぱり私は、本番が味わいたくて頑張っています。本番では、練習で積み重ねてきたものと、まるで別のものが出てきたりするサプライズもあるので、そのドキドキ感というかスリルがたまりませんね! あと、さっきも仲間と合わせて音を出していたんですけど、みんなの音が上手く合った瞬間なんかは、もうたまらない喜びがありますね。 そういう喜びが味わいたくて、みんな頑張っているんじゃないかな。あとは、本番の後は喉がカラカラなので、終わってから飲むビールが美味しいっていう楽しみも(笑)。 Q 難波さんがそもそも音楽を始められたきっかけと、音楽を自分の仕事にしようと決めたきっかけやタイミングについても、教えて頂けますか? A 私の場合、両親が音楽好きだったんです。朝もFMラジオのクラシック番組がかかっていたりするような環境で育ったので、自分で選んだわけでもなく、小さい頃からいつのまにかピアノを習っていました。 ところがあるとき、テレビでフルートを演奏しているのを見て、「この楽器をやりたい!」といったらしんです(笑)。たまたま近所にフルートの先生も見つかったので、習わせてもらいました。 小学校のときから、音楽教室にずっと通っていたのですが、知らず知らずのうちに受験クラスに進んでいて、その流れに沿って高校受験。で、またその流れに沿って大学へ――という感じで、私は本当に素直に音楽の道一本で来たんですね。それで、大学に入って、勉強の一環としてコンクールにもいろいろ挑戦したんですけど、それとは別に、お仕事としてオーケストラで演奏する機会があったのですが、プロの皆さんのハーモニーに加われたことがすごく快感で、そのときに、「音楽を仕事にしたい!」と思ったんです。でも、道はなかなか厳しくて、オーケストラに入るまでに10年くらいかかりました。そもそも、空席が出ないと募集すらしてくれないんですよ! Q 今日はこれからコンサートの本番ですが、その中でフルートのこんな音を聴いて欲しいというような聴き所はどこにあるのでしょう? A そもそも私は今日、セカンドフルートなので、実は私の音はあまり聞こえないと思うのですが(笑)。でも、セカンドにはセカンドの役割というのがあるんです。ファーストの人が、メロディを吹きやすいように支えるっていうポジションにあって、ファーストの人が、「今日は吹きやすかったな」って思ってもらえるように、うまくサポートできたらと思っています。 Q 難波さんが、とても楽しんで演奏されていらっしゃることが分かりましたが、その一方で、オフタイムというものも必要なのでしょうか? オフタイムがあるとしたら、ふだんどんなことをされていますか? A そうですね、もちろん気分転換のオフタイムは必要です。私はこまごまとものを片付けたりするのが好きなんです。クローゼットとか、一度全部外に出して、片付け直したりとか。そういう作業をすることで、無心になれたり、頭もリフレッシュできたりしますね。ただ、あんまり休みという休みがないので、まあ、それはありがたいことなんですけど、なかなかそういう時間が取れないっていう現実はありますね。 もしもっと長く、例えば1週間とかお休みがあったら、温泉に出掛けちゃいます。大好きなんです、温泉が! Q 普通の女性のように、友達とショッピングを楽しむというような楽しみもあるのでしょうか? A 仕事帰りにふらっと寄ってみるとか、そういうのはとても楽しいですね。ちょうどコンサートホールがあるような場所って、どの街でも中心地にあって、いろんなデパートがあったりしますよね。それで、「ちょっと覗いて行こうかな」って(笑)。ショッピングは、やっぱりいい気分転換になりますよね。 Q 舞台に上がるときの衣装は、ふだんどういう風に選ばれていらっしゃるのでしょう? A 基本的に、見た目がいいのはもちろん大切なんですけれど、着ていて演奏に邪魔にならないっていうことが、すごく重要になりますね。例えばウエストをキュッと締めるような服だと、息を使う楽器なので、呼吸が目立ったりしてしまうんです。なので、どちらかというとふわっとしたシルエットのものを選ぶようにしています。それと、だいたいオーケストラだと、衣装は「黒の上下」と決まっていることが多いですし。 Q なるほど、服の機能性という観点もあったんですね。もうひとつ、ファッションには気分を変えたり、インスピレーションをもらったりという効用もあるかと思いますが、そんなご経験はありますか? A ええ。この前の撮影のときに、ピンクとか水色とか、可愛らしいテイストの服を着たんですけど、ちょっと別人になったような、新鮮な気持ちになって。ファッションの力っていうものを、改めて感じましたね。 Q LOUNIEのイメージモデルに選ばれたと聞いたとき、どう思われましたか? A あの、本当に冗談だと思っていたんですけど(笑)。私だけじゃなくて、いろんな人が候補に挙がっていると聞いたので、まあ私には来ないだろうと思っていました(笑)。 でも、次にお話があったときに、「採寸をします」っていわれたので、「えっ?それって決まったっていうことかしら?」って、まだ半信半疑で(笑)。いよいよ服を試着して、「本当に私でいいんですか?」って。 Q 自分でいうのは恥ずかしいかもしれませんが、どうして選ばれたと思いますか? A 身長じゃないですか(笑)? 私、背が大きいから、服の見栄えがよかったのかな? Q 難波さんには、内面から輝くような明るさとエネルギーがあります。たぶん、そういうところが伝わったのではないでしょうか。 難波さんの、こうした予期せぬオファーや新しい体験を受け入れて、いっそ楽しんでしまおう! というような前向きな性格は、どこからもたらされたものだと思いますか? A うーん、実をいうと、やっぱり自分自身で努力しているんですよ。カメラマンのレスリー・キーさんもそうだったんですけど、ずっと「Happy! Happy!」っておっしゃっていて。それがすごく印象に残りました。何をするにおいても、ハッピーに楽しもうっていうのは、大事なことですよね。私も見習おうと思いました。 Q そういう難波さんのハッピーなフィーリングっていうのが、今日のピンクの服とも共鳴して、引き出されていると思います。難波さんから見て、LOUNIEというブランド、それからLOUNIEの服というのは、どんなところに魅力があると思いますか? A LOUNIEの服は、いろんな顔を持っているんですね。撮影で、5パターンくらい着させて頂いたんですが、それぞれに違う表情がありました。今日のワンピースは、すごく可愛らしくて、明るくて、それこそハッピー!な雰囲気があるし、一方で、ハンサムな感じの服もあったり。どの服も、それぞれにいろんな表情を持っていて、それを着ることによって、自分も服の力で、元の自分にない新しい部分を引き出せているっていう風に感じました。なので、すごく楽しいですね、LOUNIEを着ていて(笑)! Q 女性は、着る服やアクセサリー、ヘアメイクなどによって、さらに美しく変身することができますよね。そういう変身できる女性の力というものを、意識されていますか? それから、変身できる女性であることを、楽しんでいらっしゃいますか? A はい、楽しんでいます! いつもステージに上がる前に、ちゃんと鏡でチェックして、「よし!」って思って行くようにしているんですよ。 Q 今回のLOUNIEの撮影を通して、自分自身にどんな新しい発見がありましたか? A できあがった写真を見ても、いまでも本当に自分なのか信じられないような部分もあって……。撮影の場が、和気あいあいと、すごく雰囲気がよくって。みんなでひとつの素敵なものをつくろうっていう感じが伝わってきて。皆さんが準備をして重ねてきたものに、私がぴょんと乗っかったような、そんな印象がありました。そういうのがあって、あんなに素敵な写真に仕上がったのかなと思っています。 Q 今回のファッション撮影と、オーケストラでの演奏と、何か共通する点は見つかりましたか? A あると思いますね。それをしようと頑張ることで、ハッピーになるっていうところでしょうか。音楽も、本来ハッピーになるためのものですよね。演奏する自分もハッピーになる。聴いてくれる人もハッピーになるのが音楽だし、今回も写真を撮ってもらってハッピーになる、その写真を見て、またハッピーになるっていう、とってもシンプルだけど大切なことを教えてもらった気がします。 Q 音楽というのは、目を閉じて、音を聴くだけでも楽しめるものですが、オーケストラというものは、舞台があって、楽団員がいて、その場の空気のようなものがあって、見て楽しむという要素もありますよね。音楽家には、見せて魅せるというパフォーマーとしての側面もあるかと思いますが、意識されたことはありますか? A 自分の演奏は、実は恥ずかしくて、映像を頂いても観れなかったりするんです。気にはなっているんですが、まだ一度も舞台の上で演奏している自分を観たことがないんです。なので、どう見えているんだろうとドキドキしながらも、毎回違う、新しい雰囲気でできているはず……とも思っているんですが。でも、今回の撮影が、少しは自信につながりました。嬉しいです。 Q キャンペーンの写真を、誰に一番先に見せたいですか? A 帰って、まずは両親に「これ、私よ!」って見せたいと思います(笑)。 Q 生まれ変わったら、やっぱりまた女性がいいですか? A それはもう、絶対に! 女性の方が楽しいと思っています。 Q では、女性として、好きな男性のタイプは? A うーん、いままでで一番難しい質問をされましたけど(笑)。なんだろう、気が利く人かな? Q ではフルートの話に戻しましょうか(笑)。自分の演奏をより深めるために、どんなインプットを心掛けていますか? A 時間があったら旅に出たりもしますが、もっとお手軽なところだと、美術館に出掛けたりとか。あと、他の方の演奏を聴いたりというのも、一番勉強になるので。演奏家同士で、いろいろ話をしたりもしますよ。 Q 難波さんはクラシック音楽以外も聴いたり、あるいはご自身で演奏されたりもするのですか? A いえ、演奏はクラシック音楽しかしたことがないですね。聴くのは、わりと何でも聴きますね。祖母が演歌とか聴くので、あんまり分からないですけど、いっしょに聴きますし(笑)。 Q フルートも上手いから、カラオケも上手い? A 私、すごい音痴なんですよ! たぶん笑えると思います。「この曲知ってる?」とかいってフレーズを口ずさんでも、全然伝わらないですし(笑)。 Q そうすると、カラオケはないでしょうけれど、難波さんがプライベートで楽しみにしている時間というのは、どんなものでしょう? A プライベートは、温泉旅行に行くのが一番幸せですね。温泉、すごい好きなんですよ。 Q ところで、この曲を聴いたらフルートの魅力が分かる、フルートが好きになる、というような作品はありますか? A 何だろう、難しいなぁ。フルートは、近代のフランスの作曲家のものが、例えばドビュッシーあたりからよく取り入れられるようになったので、例えばプーランクのソナタなんかを聴いて頂きたいですね。とてもきれいな曲ですよ。 Q フルートの入門編としては、どんな曲を聴いたらいいでしょう? A 入門編!? フルート名曲集とかも、いろいろ出ているんですけど、一般的なのは『アルルの女のメヌエット』っていうのが一番有名ですね。でも、まずは音を楽しんで頂きたいので、普通にクリスマスの曲をフルートで演奏したものとか、自分の知っている曲で入ってもらえたらいいかな、と思います。 Q 改めて、フルートの魅力というのは何でしょう? A フルートという楽器は、リードのような媒体を介さずに、穴に吹き込んだ息がそのまま音になるので、自分の内面がそのまま音になるっていうところが特徴なんです。やわらかくはぁーっと息を吹きかけると、ふわっとやわらかい音が出て、速いスピードでフッ! と吐くと、鋭い音が出るんです。そういうダイレクトな感覚が、フルートの魅力だと思っています。 Q 難波さんは、お休みの日には、どんな格好をされていることが多いのですか? A 私、ジーンズを穿いていることが多くて、スカートを穿くことがほとんどないんです。いまもちょっと緊張しているんですけど(笑)。 Q 今回の撮影を経験して、これからはもっと新しいファッションに挑戦したい、というように思いませんでしたか? A はい。私を知る人は、たぶんスカート姿の私をあんまり見たことがないはず(笑)。これからは、もっと可愛らしいスカートとか穿いてみようと思いました! Q では、ファッション以外の要素で、難波さんの“きれいの秘密”があるとすれば、それは何でしょう? ふだん気を付けていることがあれば、教えて頂けますか? A そうですね。好きなものを周りに置くようにしています。小物とかもそうなんですけど、好きなものに囲まれて過ごしたいと思っています。 Q リラックスしている状態をつくるように、気を付けていらっしゃるのですね? A そうですね。 Q 難波さんが目標とされているような女性像というのは? A フルート奏者では、やっぱり私の先生が一番の目標であり、素敵だなって思っている目標でもありますね。先生に一歩でも近づけるように、日々努力をしています。女性像っていうと、わりと漠然としているんですけど、誰っていうわけでなく、やっぱり笑顔が絶えない女性が素敵だと思っているので、そこも気を付けています。 Q では最後に、今年の抱負や目標について、お話頂けますか? A えーと、実は抱負を抱かないようにしているんです。「これ!」っていうようなものをつくっちゃうと、私はどうしてもそこに向かって一直線に行ってしまうので。あまりガチガチに考えずに、臨機応変にあれもやってこれもやってという風に、いろんなことに手を出していきたいと思っています。なので、今回もすごくいい経験をさせて頂いたと思っています。こうした経験を、本業のフルートに生かせるように、視野を広げて、好奇心を持っていきたいと思っています。あれ、これも抱負といえば抱負になっちゃうのかな(笑)。 ——ありがとうございました。